Greatest Skaters「カタリナ・ヴィット」
今でもその名を語り継がれ、TVやアイスショーでお色気ムンムン(<死語)振りまいていたこの伝説のスケーターは、全世界が認めるまごうかたなき
「永遠の銀盤の女王」。
(プロスケーターとしても2008年引退)
・・・とみどろは思っているけど、考えてみると安藤美姫も浅田真央もリアルタイムでは彼女を知らないんだよね。そう考えるとちょっと驚く。
もう有名すぎて今さら紹介するまでもないのは、カルガリーでの「カルメン」
はい、みなさん。これが「カルメン」の正解ですよーーー。
これが画期的だったのはカルメン=ヴィットがばっちりはまった+ヴィットの演技力、ということ以外にもあります。
当時シングルのフリープログラムといえば、ただ曲をつなげてそれに合わせて演技を行うということが多かった。出だしはインパクトをもって。途中でスローパートが入り、最後の1分は盛り上がって終わる曲を持ってくる、といった感じで。ある意味、今見てもつまんないよ(笑)
でもヴィットの「カルメン」、さらに男子のボイタノ以来、1つの曲を使って物語仕立てにして構成するプログラムが増えました。男子も女子もこれを境に格段に面白くなったのです。
そういう意味でもヴィットやボイタノは伝説のスケーターです。
この五輪後、「カルメン・オン・アイス」という映像作品も作り出されたくらいで、それについてはこちらで取り上げました。
ヴィットの演技に戻ると、フリーが伝説すぎて忘れられがちですが、SPも素晴らしかったんですよ、このときは。むしろ私はこちらの方が好きかもしれない。
タップダンスに見立てたストレートラインステップを最後に持ってきていて、リンクの端で終わる構成。これはヴィットでなければ滑れない!!
また、リンクに出て行く前の女王然としたふてぶてしい態度がイイでしょ。ミューラー(コーチ)の言うこと全然聞いてない!w
オリンピックの金メダルがかかった演技の前だよ。しかも連覇がかかってるんだよ。一番ナーバスになってピリピリするはずのあの場面であの余裕(見た目には)はヴィットでなければ出せないわ!
彼女のキャリアにとっては「オマケ」の印象も強いですが、一度1994年のリレハンメル五輪で現役復帰してます。
SP「ウィリアム・テル」
ミューラーコーチ、老けた!そしてヴィットは変わらずふてぶてしい!w
フリー「花はどこへ行った」
この年からプロの復帰が一度だけ認められ、ヴィットのほかにもペアではゴル&グリ、ミシュクテノク&ドミトリエフ、男子はボイタノ、ペトレンコ、アイスダンスはトービル&ディーンが復帰して出場しました。もう、名前書いてるだけでクラクラしてくるよ。全員伝説のスケーターやっちゅーねん。どんな五輪だよ。
技術的なことを言い出すと、寂しくなるのであまり語られません。もちろんステップ、スピン、そもそものスケーティング技術はみな確実ですよ。ただ、ヴィットは現役時代、5種類あるトリプル・ジャンプのうち、2種類しか飛べませんでした。あとはダブル・アクセル。その3つと残りはダブル・ジャンプだけで五輪2連覇ですよ。ま、そういう時代だったんだけどさ。
けれど今回この記事を書くために改めてヴィットの演技を見直すと、今年キム・ヨナが不可解ながらも世界チャンピオンになったことを思い出しました。この時代ですらすでに、ヴィットの演技にはケチつくこともあったんですよ。「あんな内容で優勝しちゃっていいのか?」的な。当時は伊藤みどりやエリザベス・マンリー、デビ・トーマスなどはすでにヴィットの技術を凌駕していたんですから。
それでもヴィットの演技は特別なものをもっていた。ヴィットがパーフェクトにやればヴィットに軍配、という流れがあった。ただ手を挙げるだけ、振り向くだけの動作ですら、動きに無理がなく、曲と同調している。「その曲にはこの振付と動きしかありえない」と思えるほどの自然な流れ。これは十分評価に値することなのだと思います。誰でもできることではない。
その姿は今年のキム・ヨナの「死の舞踏」にも見ることができます。
本人としても、ジャンプ一辺倒のスケートが好きではないらしく(てか、認めたら自分を否定することになるからかもしれないが)毎年世戦後にはコメントを求められ、あーだこーだと苦言を呈していて、最近はちょっとお局状態になりつつある(笑)
確かに「飛べば勝てる」式の美しくないスケートはみどろも見ていて好まない。でも、全員がヴィットみたいな演技でいいかと言ったら、「それはプロのショーで見せてよ」と思う。アマチュアスポーツなんだしさ、日々研鑽していく選手の姿にシンクロする気持ちもわかってほしいかな。
余談ですがmixiのあるスケートコミュで、曲で区切ってベスト演技を投票で決めようという企画があります。たとえば「ロミオとジュリエット」というお題なら、過去この曲を使って滑ったプログラムで何が一番よかったかをみんなで投票するもの。男子・女子・ペア・アイスダンスを問わず。
そこで「カルメン」がお題だった時、なんと1位は安藤美姫の「カルメン」(2007-8シーズン)でした。
フィギュアは最近爆発的にファンを増やしていますので、ヴィットの演技を知っている世代が数としては少なくなってしまっているのを実感したとともに、安藤のカルメンがそれくらいの名プログラムであると認められたことは嬉しくもありました。
「カルメン」は1つの正解が出てしまっているからこそ、難曲。
けれど選手や振付師たちのたゆまぬ試行錯誤の末に、こうやって新たな名プログラムは生まれていくのだ、という事実は希望を生みます。「ボレロ」もいつか、トービル&ディーンの演技を超えるプログラムが出てくる日が来るだろうと思っています。
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